昨年6月の福島原発の事故になぜ真正面から向き合わなかったのかー「東電」の経営者と「安全・保安院」の役人の責任を問う

3/11の福島原発の事故はいつ終息するのか、まったく見通しが立っていないし、どんな不測の事態がおきるのかも分からない。 事故現場で、高い放射能を浴びる危険を冒しながら最悪のケースを阻止するために、文字通り身命を賭して不休の活動を続けて下さる関係…

メランコリーとパラノイア

人の絆の病理と再生―臨床哲学の展開作者: 加藤敏出版社/メーカー: 弘文堂発売日: 2010/11/01メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 45回この商品を含むブログ (2件) を見るは洞察力に溢れた好著である。久しぶりに読書する喜びを味わったので、このブログで、…

イマジン−無心の祈り

自由訳 イマジン作者: ジョンレノン,オノヨーコ,John Lennon,新井満出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2006/08メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 21回この商品を含むブログ (9件) を見る新井満氏の「イマジン」自由訳、同世代のものとして大いに共感を…

イムジン河とうとうと流る−国境とイデオロギーを越えた普遍性とは何か

作詞:朴世永、作曲:高宗漢、日本語詞:松山 猛 唄:ザ・フォーク・クルセダーズ「帰ってきたヨッパライ」と双璧を為すフーク・クルセダーズの歌といえばこの反戦歌イムジン河だろう。発表してまもなく、この曲はレコード会社や放送局の自主規制によって記…

北山修の公開講演/公演を聴く

「あの素晴らしい愛をもう一度」といえば、作曲者の加藤和彦、作詞者の北山修を語らないわけにはいかない。 大晦日の午前10時から、北山氏のインタビューと公開講演のビデオがテレビで放映されていたので、つい惹き込まれる如く見てしまった。 煤逃げやフ…

2010年12月29日のツイート

window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "https://platform.twitter.com/widgets.js"; fjs.paren…

「Love is blue(Marty Robbins)」 と 「恋は水色(天地真理)」を聴き比べる: 青の「悲しみ」について

Love is blue という曲は一度聴けば、あああれか、と誰しも思うようなヒット曲であるが、弦楽器だけでなくてボーカルで唄う場合、英語やフランス語の歌詞で唄われる場合と、日本語の歌詞で唄われる場合では、曲の与えるイメージががらりとかわってしまうこと…

1970年代のアマデウスー天地真理さん

Youtubeに天地真理さんの1970年代の映像がアップされていることに気付き、思わず聞き惚れてしまった。彼女の笑顔にこんな形で再び出会えるとは想わなかったのであったが、同時に彼女の若い時の歌唱の質の高さをあらためて確認したのである。天地さんにつ…

「牡丹亭」との邂逅

シネマ歌舞伎「牡丹亭」を東劇で観た。映画は二部形式で前半は歌舞伎役者玉三郎と中国の昆劇との交流を描く部分、後半は「牡丹亭」という昆曲の代表作での玉三郎と中国の俳優との共演である。 前半部分では、南京大学の学生達に講演する玉三郎の姿があった。…

歌舞伎版 十二夜 ロンドン公演

シェークスピアの「十二夜」が歌舞伎になってロンドン公演をしたことは知っていたが、昨日、たまたまそれをテレビ録画したものを放映していた。私は、そんな番組があるなどとは全く知らず、一体、何チャンネルの番組だったのかも忘れてしまったが、偶々、チ…

幻の地平線ーアラビヤのロレンスと甘粕

Youtubeで「幻の地平線」というドキュメンタリー番組を見ることが出来た。石原完爾、甘粕正彦、李香蘭、川島芳子にスポットを当てたものであるが、とりわけ新しい情報はなく、すべて既知のものばかりであったが、甘粕正彦の自決の現場に居あわせた秘書の女性…

アラビヤのロレンス

ケーブルテレビで「アラビヤのロレンス」の完全版を見た。ロードショウのときには残念ながら私は見られなかったのだが、当時、大評判であったことはよく記憶している。完全版は4時間あまりの大作。前半はロマン溢れる英雄譚。広大なアラブの大地、風紋の鮮…

日本舞踊「鷺娘」を見て

科学は普遍を目指すが、藝術は個別性を目指す。いや、正確に言えば個性に徹することによって普遍を獲得するのである。この場合、特殊なもの、他に類例を見ないものがなぜ普遍性を獲得するのであろうか。その理由は、藝術は単に客体的な普遍性(共通性)を目…

世界公民宣言

いままで私は自分のハンドル名としてCosmopolitanを使い、それを日本語で「世界市民」と言ってきたが、最近は、「Cosmopolitan=世界公民」と言いたい気持ちが強くなってきた。 その理由は、「市民」というと都市の住人であるという意味合いがどうしても抜け…

The China Lover を読んで

The China Lover作者: Ian Buruma出版社/メーカー: Atlantic Books発売日: 2008/11/01メディア: ハードカバー クリック: 5回この商品を含むブログ (1件) を見るIan Buruma の China Lover は、李香蘭こと山口淑子のモデル小説である。これまで出版されたり、…

レッドクリフを観て

「レッド・クリフ」といっても一瞬何の事やらという感じもするが、これは「赤壁」の英訳。日本で公開するならカタカナにしなくとも良さそうなものだが、今の若い人には「赤壁の戦い」というよりも「レッド・クリフ」といった方が新鮮なのだろうか。 それはと…

故都素描−江文也の組曲

江文也の組曲「故都素描」を聴くと、なぜか宮沢賢治の「風景スケッチ」とか藤村の「千曲川旅情の歌」を思い出す。どこまでも特定の郷土と歴史に根ざしながら、不思議なコスモポリタニズムを実感するのである。時代の巡り合わせで、彼は日中両国の板挟みにな…

江文也の「北京銘」を読む

江文也の書いた「北京銘」その他の随筆を読む。彼の中国と北京に寄せる思いがひしひしと伝わる。あたかも、昔時、ゲーテやギボンがイタリアを旅して古代ローマの遺跡を目の当たりにした感激と似たものを感じる。ヨーロッパ人にとってローマは永遠の都である…

孔廟大成楽章のCD

理想主義的な政治家が、その理想にあまりにも厳格たらんとして藝術を排斥したことは歴史が証明している。プラトンは彼の理想とすべき国家から詩人を追放しようとしたし、「兼愛」の徳を説き社会的な不平等を批判した墨子は「非楽論」で、儒教の典礼音楽を否…

江文也と新民会ー音楽家にとって「国家」とは何か

李香蘭と長谷川一夫が共演した大陸三部作の最後は「熱砂の誓ひ」であるが、そこでは李香蘭は日本に音楽の勉強に来ている北京の要人の令嬢役で登場する。北京出身の親日派中国人で声楽家という設定は、演じた当時の李香蘭を彷彿させるものであった。北京時代…

江文也の「上代支那正樂考」

平凡社の東洋文庫に、江文也の「上代支那正樂考−孔子の音楽論」が復刻された(2008年5月16日刊行)。三省堂から刊行された初版(1942年)のほうはすでに古書で読んだことがあるが、復刻版には、彼の詩文「北京銘」が付録として収録されているのが…

白蘭の歌 再考 −植民地開拓の明暗−

李香蘭が長谷川一夫と共演した最初の映画「白蘭の歌」、先日、たまたま、京橋のフィルムセンターの長谷川一夫特集で上映していたので、久しぶりに見ることが出来た。ビデオ版は見たことがあるのだが、これは省略がひどくて、筋の展開がよくわからないという…

花白蘭の歌−戦時中の恋の歌

戦時中李香蘭の出演していた日本映画は、基本的には国策映画であったが、彼女が当時レコードに吹き込んで歌曲には恋の歌が多数含まれている。そのなかでも特筆すべきものは、楠木繁夫とデュエットで歌った「花白蘭の歌」であろう。これは、イタリヤのカンツ…

忘憂草−上海の歌曲より

1940年代、上海で李香蘭のために中国の当時のニューミュージックの旗手達が詞と歌曲を作った。 そのうちの一つ「忘憂草」もなかなかの名曲である。忘憂草 曲﹕林枚 (陳歌辛) 詞﹕衡山 (陳歌辛) 愛人呀 天上疏星零落 愛する人よ 天上の疎らな星は寒々と落…

十里洋場−上海の李香蘭

戦前の上海という都市は不可思議な魅力を湛えていた。その万華鏡の如き多面性は、多くの人々を惹き付けまた反撥させた。 「犬と中国人は入るべからず」と言う如き、伝統的な中華文明から見れば屈辱的なる「租界」であったにもかかわらず、多くの中国人にとっ…

「恨不相逢未嫁時」

今に至るまで中国の人々に歌い継がれている李香蘭の歌曲のひとつが、「恨不相逢未嫁時」である。作曲者は服部良一の友人でもあった姚敏。この曲、漢文流に読めば、「未だ嫁せざるときに相逢はざるを恨む」とでもなろうか。親によって結婚相手が決められてい…

李香蘭の中国語の歌曲を聴く

Youtube にアップされている李香蘭の歌(中国語)は李香蘭(中国語)歌曲集でまとめて聴ける。曲目は 三年 歌舞今宵 烏鴉配鳳凰 身世飄零 小時候 梅花 分離 他總有一天回來 十里洋場 心曲。日本で販売されているコロンビアの「李香蘭全歌曲」というCDには…

「蘇州の夜」−占領地域での医療奉仕活動

今朝のABC放送で、アフガニスタンに駐留している米軍が、治安の取り締まりをするだけでなく、医療活動を通じて現地の人に感謝されているという報道が為されていた。これを聴いて僕が思いだしたのが、李香蘭が佐野周二と共演した「蘇州の夜」という映画で…

中国政府による拉致事件ーパンチェン・ラマの誘拐

http://www.tibethouse.jp/panchen_lama/gc_nyima.htmlにあるように、中国政府は、チベットで阿弥陀仏の化身として信仰の對象となっているパンチェン・ラマ11世こと、ゲンドゥン・チューキ・ニマ少年を拉致・誘拐したうえで、親中派の家に生まれたチベット…

ダライ・ラマの弁明−平和の教えとしての仏教

チベット仏教のなかには、深い哲学的な自覺が含まれている。それは異なる宗教を持つ人にも開かれた教えであるし、地球的な視点からチベットの文化ととも人類が継承すべき貴重な思想的遺産である。中国政府は共産主義という19世紀に成立したイデオロギーに…