メランコリーとパラノイア
- 作者: 加藤敏
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2010/11/01
- メディア: 単行本
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→人間の基本的なパーソナリティ構造を以下の三類型において捉える
① 真善美にたいして「自然な自明性」をもち、虚偽に満ちた俗世間を生きることが苦手な「統合失調スペクトラム」
② 俗世間にたいして「自然な自明性」をもち、他人との(感情的な)共鳴性と協調性が豊かな「躁鬱スペクトラム」
③ エディプス・コンプレックスを基盤として他人に対してはっきりとした愛憎の感情を抱く「神経症スペクトラム」
統合失調スペクトラムに属するパーソナリティをもつ天才が質の高い倫理的思想を提示する事例
思想の創造と引き替えにはらう代償:妄想性障碍(ルソー)、統合失調症(アルトー)、摂食障害(シモーヌ・ヴェイユ)
→ 構造的に神経症を患う「正常」者の生きるべき倫理は、精神を病む人の生き方に一理あると言う認識に立ち、彼(彼女)らを師にして引き出されている面があることの指摘が興味深い。