故都素描−江文也の組曲

　江文也の組曲「故都素描」を聴くと、なぜか宮沢賢治の「風景スケッチ」とか藤村の「千曲川旅情の歌」を思い出す。どこまでも特定の郷土と歴史に根ざしながら、不思議なコスモポリタニズムを実感するのである。時代の巡り合わせで、彼は日中両国の板挟みになって、不遇な晩年を送らざるを得なくなったが、本来は日本と中国の架け橋となり、また東アジアと世界の架け橋となって活躍することの出来た世界市民の一人であった。
　

[江文也佇む古都の廃園の奥より響く孔子の調べ]

この演奏はＮＨＫ交響楽団　指揮　陳秋盛である。

1. Sketches of the old Capital OP.15 故都素描
Charamela 「哨吶」街上情景
The Atmosphere of the Theatre 劇場氣氛
In the Ruins 在廃墟
Buffalo Boy 牧童與垂柳
Old Capital Gate 故都城門的風景

2. Memorial to Chu Yuan 紀念屈原交響詩
3. Idyll of the Fields 田園詩曲
4. Sinfonietta in D Minor, OP.51 為弦樂合奏的「小交響曲」
First Movement: Allegro Animato 　第一樂章：生氣勃勃的快板
Second Monvement: Andante Tranquillo 　第二樂章：平静的慢板
Third Movement: Allegro Vivace Festivo 第三樂章：過節氣氛的快板