2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

孔廟大成楽章のCD

理想主義的な政治家が、その理想にあまりにも厳格たらんとして藝術を排斥したことは歴史が証明している。プラトンは彼の理想とすべき国家から詩人を追放しようとしたし、「兼愛」の徳を説き社会的な不平等を批判した墨子は「非楽論」で、儒教の典礼音楽を否…

江文也と新民会ー音楽家にとって「国家」とは何か

李香蘭と長谷川一夫が共演した大陸三部作の最後は「熱砂の誓ひ」であるが、そこでは李香蘭は日本に音楽の勉強に来ている北京の要人の令嬢役で登場する。北京出身の親日派中国人で声楽家という設定は、演じた当時の李香蘭を彷彿させるものであった。北京時代…

江文也の「上代支那正樂考」

平凡社の東洋文庫に、江文也の「上代支那正樂考−孔子の音楽論」が復刻された(2008年5月16日刊行)。三省堂から刊行された初版(1942年)のほうはすでに古書で読んだことがあるが、復刻版には、彼の詩文「北京銘」が付録として収録されているのが…

白蘭の歌 再考 −植民地開拓の明暗−

李香蘭が長谷川一夫と共演した最初の映画「白蘭の歌」、先日、たまたま、京橋のフィルムセンターの長谷川一夫特集で上映していたので、久しぶりに見ることが出来た。ビデオ版は見たことがあるのだが、これは省略がひどくて、筋の展開がよくわからないという…