原子力神話からの開放ー高木仁三郎氏の予見

原子力神話からの解放 -日本を滅ぼす九つの呪縛 (講談社+α文庫)作者: 高木仁三郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/05/20メディア: 文庫購入: 16人 クリック: 180回この商品を含むブログ (10件) を見るは十一年前に刊行された書物であるが、現在読んでも…

「安心科学アカデミー」というNPO法人ー放射能の「安心宣伝」が設立の趣旨とのこと

安心科学アカデミーなるNPO法人があって、そこのWEBで、弱い放射能は恐れるに足らないという「安心」の宣伝をしていることに気づいた。そこでは、このアカデミー委員会の理事である辻本氏が次のようなことが謂われている。 東京電力株式会社の柏崎刈羽…

近藤宗平氏の 「人は放射線になぜ弱いかー少しの放射線は心配ご無用」(講談社ブルーバックス)への疑問

「近藤宗平氏の「人は放射線になぜ弱いかー少しの放射線は心配無用」(講談社ブルーバックス 1998年第一刷、2011年4月8日第七刷)を読んだ。この書物は、LNT仮説に対する反論を唱える著者の立場を一般大衆にも分かるように書き下したものであるが、…

参議院の行政監視委員会の参考人意見と質疑応答を聴く

参議院行政監視委員会での小出裕章、後藤政志、石橋克彦、孫正義諸氏のご発言をインターネットを通じて聴くことが出来た。このネット中継はアクセスが殺到し、音声が途切れたり、画像が動かないなど不具合が目立ったが、現在でもYoutube で聴くことが出来る。…

京都医療科学大学学長の発言に苦言を呈す

首相官邸のWEBサイトに、「祖父母の幸せ−−放射性物質のもう一つの顔」 (平成23年5月12日) (遠藤 啓吾・京都医療科学大学 学長) という記事が掲載されている。短いものであるから、全文を引用しよう。 放射性物質「ヨウ素-131」を、100億ベクレル以上。 こ…

吉井英勝議員の自由報道協会での記者会見を聴く

すでに 3月24日のブログ記事で、吉井英勝衆議院議委員の予見について言及したが、今日は、自由報道協会での記者会見を聴くことが出来た。吉井英勝衆議院議員 主催:自由報道協会原子力発電所が孕む問題点を3/11以前に、この人以上に明確に把握していた国…

竹中平蔵氏の確率談義ー浜岡原発は慌てて停止する必要は無いか?

竹中平蔵氏は、最近のTwitter で次のような発言をしている。この一年間で浜岡原発が事故を起こす確率は、2.9パーセント、一ヶ月で事故を起こす確率は0.2パーセントで、非常に小さいから、菅首相のように慌てて停止する必要ななく、原発停止の様々な社…

沈黙の音ー一九六〇年代の預言者、ポール・サイモンの歌を聴く

原発関連の記事を書きながら、私は科学者や経済学者の論説だけでなく、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」や、黒澤明の「赤富士」、そして大江健三郎の「広島ノート」などの文学者の書いたものにも耳を傾けるようにしてきた。彼らは、科学者とは異なった視点から…

「米国スリーマイルズ島原発事故の問題点ー事実が示した原子力開発の欠陥(1979 岩波「科学」6月号掲載)ーを再読する 

小出裕章氏の著書、論文、講演録の一覧は、日本の原子力発電プラントの安全性を再考する上で必読の文献が数多く載っている。これを読むと、今回のフクシマ原発震災が起こる以前に小出氏をはじめとする京都大学原子炉研究所の研究者達が、科学的事実に基づい…

「米国版鉄腕アトム」の原発論議ービル・ゲイツ氏に苦言を呈す

私は1984年頃からWindows PC を使っているが、OSが進化するたびに、新しいソフトを買わせるマイクロソフトのやり口に辟易している。ワープロで言えば、WORD98というのを長く使用していたが、現在のOffice 2010 などよりも遙かに軽くて使い勝手が…

池田信夫氏の原発論議の「科学性」について

池田信夫という経済学者が、御自身のブログで「浜岡原発の「停止要請」は非科学的だ」という意見を述べている。私は池田氏とは全く面識がないし、ブログで公開されている以上の氏の経歴を存じ上げないが、氏の所説は、現在焦眉の問題にかかわるものであり、…

佐藤栄佐久前福島県知事のインタビューについて

4月18日の外国特派員協会で、佐藤栄佐久前福島県知事の記者会見の模様が、 ビデオニュース・ドットコムに収録されていた。特派員は原子力安全・保安院の記者会見には誰一人出席しなくなったとのことであるが、佐藤栄佐久氏の記者会見は多数の出席者がいた…

核施設と非常事態−地震対策の検証を中心に−故高木仁三郎氏の論文(1995年)を読む

核施設と非常事態−地震対策の検証を中心に−という故高木仁三郎氏の論文を読んだ。阪神大震災を踏まえて防災対策の見直しが行われていた時期に、なぜか原発震災の可能性についての議論が殆ど為されていないことを憂えた高木氏が、1995年に日本物理学会誌…

経済産業省の内部文書と菅直人首相の決断

原子力発電によるエネルギーの「安定供給」を国策としてきた経済産業省の役人どもが次のような内部文書を用意していたことが東京新聞に掲載されていた。http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011050601000829.html それによると「原発の緊急安全対策を進め…

三号機の爆発事故はただの水素爆発だけではなく、即発臨界による核爆発を誘発した可能性が高い

重大な映像と米国の原子力の専門家による解説がYouTube を通じて日本でも見られるようになった。タイトルは日本人にとっては衝撃的であるが、「福島第一原発三号機の爆発事故は、ただの水素爆発だけでなく核爆発でもある可能性が高い」という内容である。説…

原子力の平和利用は、そもそも可能であったか?−アイゼンハワーの国連総会に於ける演説、Atoms for Peace 再考 

原子力の平和利用は、アイゼンハワー大統領の国連総会での演説、Atoms for Peace に始まるというのが通説になっている。 たしかに、ソビエト連邦が核武装し、核兵器の開発競争によって人類が、はじめて自己自身を絶滅させる可能性に直面した事実の重さが、こ…

孫正義氏の提言

孫正義氏が津波による被災者救済のために私財100億円を投じられたというニュースは知っていたが、Twitter でインターネットの言論の自由を守るために熱く語っておられるのを見、また動画サイトを通じて直接に人々に語る姿を見て、私は従来の財界人には見…

アジア・太平洋ジャーナルに掲載されたアージュン・マキャニ博士の再臨界に関する論説

What Caused the High Cl-38 Radioactivity in the Fukushima Daiichi Reactor #1? という記事では、昨日引用した小出裕章氏とおなじく、東電の公開したデータが正しければ、福島第一原発で「再臨界」が生じている可能性が高いことに言及している。 The pres…

小出裕章氏から学ぶー最悪の事態を予見して最善を尽くすべきこと

小出裕章氏のインタビューを聴いた。現在起こっている事態が如何に深刻なものであるか、とくに再臨界が既に起きていると考えるべき重大な兆候が検出されているという指摘は重要であり、「再臨界」という事態が何を意味するか、何を証拠に再臨界が起きている…

黒澤明の「黙示録」:赤富士・鬼哭・水車小屋のある村 

黒澤明の「夢」という作品を観たのは20年くらい前だったろうか。この作品の中の終わりの三つの「夢」、「赤富士」、「鬼哭」、「水車小屋のある村」は、預言者的精神に満ちた傑作である。それは、芸術家の想像力の世界の中で、二〇年後の日本を予言した驚く…

終末的・黙示録的状況を直視して平常底を生きること

福島原発の事故を報道する欧米の新聞やテレビの報道の中でしばしば Apocalypse (黙示録)と言う言葉が使われている。 たとえば Ghost Island: Apocalyptic scenes in tsunami worst-hit Japan areas と題する以下の映像を見てみよう。ユダヤ・キリスト・イ…

米原子力規制委員会(NRC)のレポート

米原子力規制委員会(NRC)のレポートによると、米国ではすでに1981−2年に、すべての電源が失われた場合、原発に何が起こるかというシュミレーションを実施していた。その結果は、ほぼ、今回の福島第一原発の状況を預言する物であったという。問題は…

東北電力と東電の津波対策

昨日東電の会長が記者会見して、福島の住民に謝罪した。福島第一原発の老朽化したプラントを更に10年使用し続けることを昨年認可した原子力安全・保安院および経産省のトップの責任の方が、一民間企業よりも遙かに大きいのではないか。海江田万里は、事故責…

原子力ロビーの情報統制ールモンドの的確なる記事

3月26日(日本時間27日)のルモンドは、日本の「原子力ロビー」によって行われてきた言論統制を指摘している。フランス自身の原子力政策の誤りもまた指摘すべきであると思うが、こと日本に関する限り、フランスのこのジャーナリストは実に的確な指摘を…

「原発は危険だから建てるべきではない」−−中央日報のコラムについて

「原発は危険だから立てるべきではない?」と題した中央日報(日本語版)のコラムを読んだ。「?」がついているのは、このコラムニストが原発廃止論に懐疑的であるからで、彼の結論は「重要なことは原発の安全であり、原発の必要性の有無ではない」であった…

高田松原の一本松

高田松原といえば、青松と白砂の美しいコントラストで有名な観光名所である。 350年ほど前に、塩害を防ぐために植林されたものだが、今回の津波で壊滅的な被害を受けた。 (http://www.3riku.jp/kanko/docs/attractions/coast.html) しかし、奇跡的にも…

放射能汚染水が海に漏出したことー海の安全と保安

昨日の記事で、武田邦彦氏のコメントを引用したが、今回の放射能汚染水の漏出事故とおなじ構造を持った設計ミスを放置した「安全・保安院」の責任をあらためて問いたい。武田氏の報告に由れば、ウラン濃縮工場の地下の配管ミスにより、放射能が海に漏れ出る…

原子力発電プラントは21世紀の「戦艦ヤマト」である

武田邦彦氏のコメントを聴く。私は環境問題や地球温暖化などに関する武田氏の発言には反対であるし、彼ほど科学技術そのものにたいする信頼をもってもいない。しかしながら、今回の福島原発に関する同氏のコメントは、批判的に聴くならば、傾聴すべきものを…

吉井英勝氏から日本のあるべきエネルギー・環境政策を聴け

化石燃料依存から脱却する将来の「クリーン・エネルギー」として、原子力発電の必要性をキャンペーンしてきた政府の責任は重い。我が国のエネルギー政策の大転換を促す大事故に直面しているのも関わらず、政・官・財界の指導者達は頭が切り替わっていないの…

社会の木鐸ー衆議院議員 吉井英勝氏の予見

今回の福島原発の事故が人災であること、そしてその危険性はすでに識者によって指摘されていたことは、ここで確認しておかねばならぬ重大な事柄である。私は日本共産党の支持者ではないが、同党の衆議院議員吉井英勝氏が、国会に於いて実に予見に富む提言を…