参議院の行政監視委員会の参考人意見と質疑応答を聴く

参議院行政監視委員会での小出裕章、後藤政志、石橋克彦、孫正義諸氏のご発言をインターネットを通じて聴くことが出来た。このネット中継はアクセスが殺到し、音声が途切れたり、画像が動かないなど不具合が目立ったが、現在でもYoutube で聴くことが出来る。

  

高速増殖炉計画の破綻の責任を誰もとっていないという小出氏の指摘は重要であるし、日本の各所に散在している「鯰付」原発の危険性を指摘した石橋氏の説明も説得力があった。放射能被曝の基準を事故後に勝手に改竄しないこと、内部被曝の実態を調査すべきこと、とくに大気中のガンマ線測定だけでは、深刻な放射能被害の状況が軽減されて報道されるだけだという孫正義さんのご指摘も重大である。被害状況を直視せずに、安全のための基準値を改訂して、国民を無知な状態にしたまま偽りの「安心」を与えようとしても、そういう政策は必ず破綻する。原子力安全神話の崩壊の後、心すべきは原子力「安心」神話である。ここは、放射能被曝の健康被害を科学的に認識するために、ガンマ線だけでなく、すべての放射線量を測定する体制を整備すべきである。

海水注水中断の政治責任を告発する大騒ぎは読売新聞のキャンペーンから始まったのであるが、西岡議長の「諫言」とタイミングを合わせた「菅おろし」の政治的駆け引きの文脈で捉えるべきだろう。外の新聞は比較的冷静に扱っている。こういう利権まみれの政治屋どものくだらない政治的駆け引き、コップの中の大騒動とくらべれば、昨日の参議院行政監視委員会の内容の方が国民にとっては遙かに重要な内容を含んでいた。
大手新聞の中では東京新聞が、原発報道ではしっかりとした報道をしていると思うが、この行政監視委員会のことを詳しく報道したのも、東京新聞だけのようだ。今日の朝刊にも
放射能汚染のいまとこれから 京大・今中助教に聞く」という長文の記事が掲載された。全文は東京新聞を購読していないと読めないが、見出しだけ 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011052402000049.html に出ている。

ネットで公開されている今中氏のチェルノブイリレポートも必読である。

追記

小出裕章氏は行政監視委員会参考人としての意見陳述をガンジーの次の言葉の引用で締めくくった。
私も自戒の言葉として肝に銘じておこう。

理念なき政治    Politics without Principles
労働なき富     Wealth without Work
良心なき快楽     Pleasure without Conscience
人格なき学識    Knowledge without Character
道徳なき商業    Commerce without Morality
人間性なき科学   Science without Humanity
献身なき宗教    Worship without Sacrifice