米原子力規制委員会(NRC)のレポート

米原子力規制委員会(NRC)のレポートによると、米国ではすでに1981−2年に、すべての電源が失われた場合、原発に何が起こるかというシュミレーションを実施していた。その結果は、ほぼ、今回の福島第一原発の状況を預言する物であったという。問題は、このレポートが、日本の原子力安全・保安院によって生かされていなかったことだろう。東電のような電力会社は、採算のとれないような安全装置の完備に積極的ではないということは当然であろうから、こういった問題は、原子力安全委員会や、安全・保安院がしっかりと警告すべき問題なのである。
 原子力安全委員会は90年、原発の安全設計審査指針を決定した際、「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又(また)は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない」とする考え方を示したとのこと。元原子力安全委員長は「何もかもがダメになるといった状況は考えなくてもいいという暗黙の了解があった。隕石(いんせき)の直撃など、何でもかんでも対応できるかと言ったら、それは無理だ」と話したとのことだが、おどろくべき無責任と言うべきだろう。津波電源喪失は、予見されていた事柄であり、隕石落下などとは次元の違う問題である。