孫正義氏の提言

孫正義氏が津波による被災者救済のために私財100億円を投じられたというニュースは知っていたが、Twitter でインターネットの言論の自由を守るために熱く語っておられるのを見、また動画サイトを通じて直接に人々に語る姿を見て、私は従来の財界人には見られない新しい起業家の姿に引きつけられた。
ラフな姿で、原子炉の技術者からレクチャを受けている孫氏は、ビルゲイツ氏と同じように、どこからみても億万長者なぞには見えない。3/11以後の日本が脱原発を政策の基本に据えるべきことを、起業家として、また経営者として提言している。自然な再生可能エネルギーこそが代替案である。それは我々の次の世代に、危険に満ちた原発とその廃棄物を押しつけてはならないという人間としての自然な感情から発するものである。孫氏は、民主党の議員を相手とする講演会では、合理性を重んじる起業家の見地から見ても、脱原発によって環境問題を解決する道が、推奨さるべき道であるという議論を熱く語っていた。それは、天災と人災でうちひしがれながらも、創造性と活気を失わずに平和を目指すべき、これからの日本の将来を照らす説得力のある議論であった。そして、復興のための義援金に更に追加して、太陽エネルギーを活用するための財団を設立するという具体的な行動を起こしている。率直に自分の所信を語る仕方、謙虚さと共に創意に満ちた提言が印象的であった。このような起業家こそ今の日本に必要なのではないだろうか。