原子力ロビーの情報統制ールモンドの的確なる記事

3月26日(日本時間27日)のルモンドは、日本の「原子力ロビー」によって行われてきた言論統制を指摘している。フランス自身の原子力政策の誤りもまた指摘すべきであると思うが、こと日本に関する限り、フランスのこのジャーナリストは実に的確な指摘をしている。そのルモンドの記事を引用しよう。

この「原子力ロビー」には原子力事業を総括する経済産業省と同省の管轄である原子力安全・保安院、電力各社、電気事業連合会電事連)、そして発電所を建設する東芝や日立といった産業界の大企業が関与し、「非常に大きな資産と影響力」を誇っているという。また、原子力関連の官庁からの天下り社員が送られることにより、完全な「情報統制」を行うだけでなく、出版やテレビ局を通じて大規模な広告キャンペーンを繰り広げ「原子力は100%安全である」という神話を築いて来た。さらに、現在の与党民主党原子力エネルギー業界出身の組合員が多い労働組合「連合」を支持層にしているため、2009年の政権交代後もこの状況に変化はなかった。同紙は、「この行政、監督官庁原発建設企業そして電力会社間の緊密な関係が原発反対派を黙殺し、さらに原子力に関するあらゆる疑問を回避してきた」と指摘。電力各社は「1970年代以降から度重なる原発事象を隠蔽、改ざんし続けて来た。当時最も批判が集中したのは東京電力である」と付け加える。

この批判を真摯にうけとめ、我が国の「原子力ロビー」が、これまで国民に行ってきたプロパガンダの実態をさらに詳しく突き止める必要があるだろう。
行政、監督官庁原発建設企業、電力会社からなる「原子力ロビー」に、さらに大学も付け加えるべきではないか。
東電は、東京大学を初めとする日本の大学に億単位の寄付講座を開設している。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu05_j/images/050117a.pdf
http://www.u-tokyo.ac.jp/res01/pdf/20110301kifu.pdf
これは単なる一例に過ぎない。産学協同によって、このように大学と「原子力ロビー」は癒着しているのだから、大学の工学部教授の肩書きで原発問題にコメントする「専門家」達の発言を聴く場合、彼らが東京電力から資金援助を受けていたかどうかをチェックする必要があるだろう。